HEALTH
ピロリ菌除菌で胃の健康を守る!
最近胃が痛い、胸やけや吐き気がする・・・そんな症状があると、まず「疲れかな?」「ストレスかな?」と思いがちですよね。 でも、もしかしたらピロリ菌に感染しているかもしれません。 日本人の約半数が感染していると言われているピロリ菌ですが、これが胃がんのリスクを上げている事は良く知られていますよね。では、ピロリ菌とは一体どんなものなのでしょうか?また、なぜ日本人はピロリ菌感染率が高いのでしょうか?
ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」と言い、胃の粘膜のヒダの奥に棲んでいるらせん状の細菌です。
症状として現れない事が多い為、多くの人が子供の頃に知らず知らずのうちに感染し、自身が感染しているとは気づかず大人になる場合が多いのです。
日本のピロリ菌感染率は先進国の中では高く、日本人全体の40~50%がピロリ菌に感染していると言われています。さらに50代以上の感染率は8割にのぼると推測されています。
ピロリ菌は上下水道の普及が低く、衛生状態の悪い地域で感染率が高い事が分かっていますが、なぜ水道水が飲めるほど安全な日本でこんなにも感染率が高いのでしょうか?
それは、戦後のまだ衛生環境が整っていない時代に幼少期を過ごした世代の方の感染率が高いと言われています。衛生環境が整備されるにつれ感染率は低下し、現在の10代の感染率は10%を切ると言う調査結果も出ています。
では、昔と比べて衛生環境が良くなった今の日本では、どのようにして感染するのでしょうか?
ピロリ菌の感染経路はまだはっきり解明されていませんが、飲み物や食べ物を通じて口に入り体内に入る「経口感染」によって感染すると考えられています。
実は大人になってからの感染例は少なく、多くが胃の機能が未発達な5歳までの幼児期に感染する場合が多いのです。
そして、現代の日本では「家族間感染」が多いと言われています。
小さな子供に親が食べ物をかみ砕いて口移しであげるような事、ありませんか?
これは、虫歯が感染するからと控えているご家庭も多いですが、実は虫歯菌だけでなく、ピロリ菌も感染してしまうのです。
可愛くてたまらない乳児期、幼児期ですが、お子さんの将来のめ口移しで食べ物を食べさせることは控えた方が良いでしょう。
ピロリ菌が原因で引き起こす病気として有名なのは胃がんですね。これは誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ですが、他にもピロリ菌が引き起こす体の疾患はたくさんあります。
ピロリ菌が胃の中で活発に動き出すと、
●空腹時の痛み ●胃もたれ ●食後の腹痛
●食欲不振 ●胸やけ ●吐き気
などの不快感が現れ始めます。
でも、このような症状が出てもピロリ菌かも?と思う方は少ないですよね。おそらく、何だか胃の調子がおかしいな…と胃薬などを飲んでやり過ごしてしまう事がおおいのではないでしょうか?
そのような症状をそのままにしておくと、
●胃炎 ●胃潰瘍 ●十二指腸潰瘍 ●胃がん
などの病気になる恐れがあります。
最近では胃に関する疾患以外にも
●狭心症 ●心筋梗塞 ●大腸がん
これらの疾患との関連も示唆されています。
ピロリ菌に感染しているか調べる方法はいくつかありますが、大きく分けて、胃カメラで胃の粘膜を採取し調べる方法と、内視鏡を使わないで検査する方法があります。
■内視鏡を使う方法
胃炎や潰瘍などの病気があるかどうか調べると同時に、胃の粘膜を採取して調べる方法です。
① 迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っているウレアーゼと言う酵素の活性度を測定し、ピロリ菌の有無を調べます。
② 鏡検法
採取した組織に特殊な染色をして顕微鏡で探す方法です。
③ 培養法
採取した組織を磨り潰し、ピロリ菌の発育環境で培養して菌が増えるかどうかを調べます。
■内視鏡を使わない方法
内視鏡を使わないので、手軽に検査する事ができます。
① 尿素呼気試験
検査用の薬を使い、服用前後の息を検査袋に吹き込み、その呼気を検査する方法です。
② 抗体検査
血液や尿を採取し、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べてピロリ菌に感染しているか調べる方法です。
③ 便中抗原測定
便を採取し、ピロリ菌抗原があるか調べる方法です。
このように、現在は負担が少なく手軽に受けられる検査もありますが、やはり内視鏡検査をおススメする病院が多いようです。
それは、内視鏡を使って胃炎や潰瘍などの症状が確認されると、保険適用での除菌治療が認められている為、内視鏡検査が必要になってくるようです。
内視鏡検査をする事で自分でも気づかない病気が発見されることもあるので、消化器科の先生に相談し、内視鏡検査を受けてみて下さいね。
ピロリ菌検査を行ってもし感染しているとわかったら、ピロリ菌除菌の治療が行われます。
一般的な方法としては、2種類の抗生物質と1種類の胃酸の分泌を抑える薬を朝夕2回・1週間ほど服用するだけです。
1回目の治療で除菌が成功する確率は70%~80%と言われており、除菌治療が成功しなかった場合2回目の除菌治療を行うことが保険診療で認められています。2回目の治療の成功率は90%と言われています。
除菌治療中の注意点としては、除菌治療中のアルコール摂取や喫煙は除菌の失敗に繋がるため、できるだけ避けて下さいね。また、除菌薬の服用を途中でやめてしまったり、飲み忘れがあったりすると除菌成功率が下がってしまうという報告もあります。万一除菌が失敗してしまった場合、耐性を持つピロリ菌が生まれる原因になる事もあるようなので、自己判断で薬の服用を止めたり量を変えることは避けてください。
逆に除菌の成功率が上がる方法として今注目されているのが、ヨーグルトなどに含まれるLG21乳酸菌を接種する方法です。
LG21乳酸菌はピロリ菌の活性を抑える性質を持っていると言われており、ピロリ菌除菌治療と併用して接種すれば除菌率が上がると言われています。
LG21乳酸菌が含まれる製品はスーパーなどで気軽に購入できるので、ぜひ試してみて下さいね。
最後に、日本人に胃がんが多い原因のひとつに、ピロリ菌の感染率の高さが関係していると言われています。このピロリ菌を除菌することで感染期間が長い人で発がんリスクを3分の1以下に、30代未満の若い世代の方は限りなくゼロに近づくと期待されています。
自分には関係ない、とお思いかもしれませんが、ご自身の健康の為にもぜひ一度ピロリ菌検査を受けてみて下さいね。