HEALTH
以外と知られていない?水道水を温めてはいけない理由
みなさんはご家庭の水道水を飲みますか? 日本全国を対象としたインターネットの調査によれば、 ・「水道水をそのまま飲む」45.0% ・「ミネラルウォーター(ペットボトル)を買って飲む」24.6% ・「蛇口につけるタイプの浄水器を使用して水道水を飲む」18.8% という結果が出ています。 ところが関東圏に限って見てみると、水道水をそのまま飲む人の割合が38.6%と他の地域に比べて割合が低く、ペットボトルのミネラルウォーターを購入している割合が高いことがわかりました。 いまだに都会の水道水は臭くて不味いという印象があるのでしょうか?もしかしたら、浄水器を売る業者が「水道水は危険である」と誇張し不安をあおるような噂を広めた結果、水道水に不安を感じミネラルウォーターを購入している人が多いのかもしれません。しかし本当に水道水は危険で飲んではいけないものなのでしょうか? 今回は家庭で簡単に手に入る水道水の安全性についてご紹介していきたいと思います。
世界中でも水道水をそのまま飲める国は日本を含め10数カ国しかありません。
日本の水道は「水道法」という法律で守られており、国が定めた安全基準に基づいた水道水を供給するように定められています。水道水の安全基準は51項目にものぼり、これはどんな食べ物よりも厳しいものとなっています。
さらに、昔は水道水の水質検査基準が26だったのに対し、現在は124種類にまで増えています。水道水はミネラルウォーターの水質基準をはるかに上回る基準が設定され、検査が行われているのです。
海外製のものを含めミネラルウォーター類は「食品、添加物等の規格基準」によって安全性が確保されてはいますが、殺菌されて出荷されるものの他、殺菌されずに商品として並べられるものもあり、さほど厳しい規格はありません。より安全を考えた規格のもとにあるのは水道水ということになります。
水道水には殺菌のため塩素(カルキ)が入っています。
塩素は食器やマナ板などを殺菌・漂白する漂白剤などと同じ物質です。この塩素と水道水中に含まれる有機物とが反応すると「トリハロメタン」という発がん性が疑われる物質が発生します。※(1)
この水道水中のトリハロメタンは生涯継続的に摂取し続けても人体に害がないレベルに抑えられています。ところが水道水を加熱し40度になるとトリハロメタンの水中濃度が1.5倍に増え、100度を超えたところで3.5倍に増えるという調査結果が報告されているのです。
では、トリハロメタンを除去する方法はあるのでしょうか?
水道水を煮沸した時点で水中のトリハロメタンは一時的に濃度が上昇します。しかし、10分以上煮沸し続けると蒸発によってほとんどを除去することが可能です。
水道水は煮沸すればカルキ臭がなくなり安全と考えていた人が多いと思いますが、今後は10分以上沸騰を続けることを心がけてくださいね。また、瞬間湯沸かし器で湧いたお湯を直接飲むのも避けたほうが良いでしょう。
■ポイント!
・水道水は常温で飲む
・ヤカンの蓋を開け、10分以上煮沸を続ける
朝最初に水道を使うときや、長期間家を留守にした後は蛇口や水道管に残って溜まっていた水を流してしまいましょう。もしくは洗い物やトイレに使用するなど、飲料水以外の用途に使用すると良いでしょう。
飲料水として飲むには、ヤカンのふたをあけて10分以上煮沸したものを冷蔵庫で冷やせばよりおいしく飲めるそうですよ。ただし、煮沸して塩素を取り除いた水は細菌等が繁殖しやすくなる為、なるべく早く飲みきるように注意しましょう。
自分や家族の健康のためミネラルウォーターや高額な浄水器を購入することも良い選択だと思います。しかし、家庭でタブをひねればすぐに出てくる水道水をこの機会に見直してみるのも良いかもしれませんね。
※(1)IARC(国際がん研究機関)の見解ではトリハロメタンが人に発がん作用を示す確証はないとされています。トリハロメタンの大部分がクロロホルムであり、クロロホルムが発がん性を示すと仮定して水質基準を設定しています。